後藤吉彦ゼミナール:現代文化の研究を中心とするゼミナール
◆内容
文化(カルチャー)とは、絵画やクラシック音楽、文学や哲学といった“高級な”芸術や教養、あるいは、ファッションやテレビのように具体的な形をもつものに限られません。文化には、スポーツ新聞やヒップホップのような“大衆的な”ものも含みますし、歩き方や、場の“空気の読み方”まで、有形無形のあらゆる活動や知識を含みます。わたしたち人間は、文化をとおして物事を理解したり、気持ちを表現したり、人生を楽しんだり、他者とコミュニケーションしたり、「私は何者である」と認識したりするのです。それは、私たちが生きるうえでなくてはならないものです。
そのような重要なものである文化は、私たちの価値観や、物事や出来事の意味をめぐっての争い(闘い)が繰り広げられる「現場」にもなっています。たとえば、邦楽よりも洋楽のほうが“イケてる”とされているのは、なぜでしょうか?就職活動にリクルートスーツを着るのは、何のためでしょうか?同じく体から出る分泌物なのに、唾は汚くて、涙は綺麗なものに感じるのは、どうしてでしょうか?このように、「なぜ?」「何のために?」「どうやって?」「誰にとって?」と問うことによって、文化の中にある価値観や意味をめぐるせめぎあいを発見することができます。
本ゼミでは、文化を単に鑑賞したり、描写するのではなく、上記のように、せめぎあいの「現場」としての側面に注目し、研究していただきます。研究対象やテーマには、自分が関心をもっていることや、取り扱いたいものを自由に選んでいただきます。研究をおこなうにあたっては、けっして傍観者とならず、選んだ研究対象が、自分あるいは自分の周りの人たちの生き方に影響をあたえていることを意識し、あくまでも「自分の問題」として、取り組むようにしてください。
◆進め方
3年次は、これから文化を研究するにあたって、是非、知っておいてもらいたい重要な考え方やものの見方について学びつつ、徐々に各自が興味を持って取り組みたいテーマやアプローチを探していきます。授業の基本スタイルとしては、毎回、事前に全員がテキストの指定箇所を読んで、そのなかで特に自分の興味をひいた内容に関するネタ(ニュースや新聞?雑誌の記事、本など)をもってきて、その報告をしていただきます。報告の後、全員で意見交換や情報交換のためのディスカッションをおこないます。
4年次は、卒業論文の執筆にむけての準備(テーマ選び、先行研究や参考文献しらべ、論文の書き方の練習など)を中心とした議論や、経過報告をしていただきます。
授業の「主役」は、一人ひとりのゼミ生です。毎回、出席をすることと、ただ出席するだけでなく、「主役」として授業に参加していただくことを期待します。